キャリアウーマン
50代からの住宅ローンの組み方と将来までのライフシミュレーション
50代シングルミドル層の住宅ローンの組み方ポイント
近年、ライフスタイルの多様化を背景に生涯未婚のシニア・ミドル層が増加傾向にあります。
2000年当時の未婚率が男性で12.57%、女性で5.82%だったのに対し、2015年の調査ではそれぞれ23.37%、14.06%と倍以上に増えており、2021年現在ではさらなる増加が見込まれるところであります。
出典:国立社会保障・人口問題研究所・人口統計資料集(2019)
https://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Popular/Popular2021.asp?chap=0
また、結婚はしていたものの離婚によって単身シングルを満喫しているという方も含めれば、40~50代歳の単身者比率はもっと多くなるはずです。当コラム記事でも多数取り上げております意図的に子供を持たない「▼DINKS世帯」の夫婦などが増えつつあることも要因の一つと思われます。
もちろん、こうしたシングルミドル層における住宅ニーズもさまざまな変化を見せており、これまで賃貸マンションやアパートが中心だった居住形態も、いまでは持ち家・分譲マンションのニーズも高まりつつあるため、
50代からでも積極的に住宅ローンを組んで好みの物件を購入する
という考え方が浸透しつつあります。
大手金融機関でも「50~60歳からの住宅ローン」といった自宅を担保とするリバースモーゲージタイプではあるものの、
シングルミドル層向けの住宅ローンなども充実しつつある
のも事実。これまで、20代~30代が中心だった住宅ローンの需要は、その裾野を広げて50代~60代でも積極的に活用する時代になりつつあるようです。
今回の記事では、そんな50代のシングル、特に単身者の増加が顕著である女性にフォーカスし、50代シングル女性の住宅ローンの組み方と老後を見据えた将来のライフシミュレーションについてご紹介していきます。
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できる限り返済期間は短く・月々の負担額を小さくする
大きな買い物となる住宅購入。
住宅ローンを組むのに50歳代では遅すぎるのでは?という疑問を抱かれる方も多いと思いますが、実際に50代ともなればある程度貯蓄もある方が多いため、それを頭金として活用し、借入額をできる限り少なくすれば65歳までの完済も可能。
実は、若いうちから住宅ローンを組んでも、
定年退職までに完済できない人も多い
ということを考慮すれば、年齢的なデメリットや違いはそれほど大きくないのです。
ただし、50代でも貯蓄があまりないという場合は話は別。
仮に3,000万円を借り入れた場合、単純計算で30年で返済するとしたら年間100万円、月に換算すると約8.3万円が月々の返済額となります。50代からの住宅ローンともなると、最大でもローン期間は20年と想定した場合、
年間の返済額は150万円
月に換算すると12.5万円が月々の返済額
となりますので、家計にとっては大きな負担になるのではないかと思われます。
もちろん、マンションの場合はそれに管理費や修繕費、さらに駐車場代等の固定費も掛かってきますので、少なく見積もっても
+3~5万円程度の住居費は見込んでおく必要
があります。
つまり、50歳代からの住宅ローンの組み方については、言うまでもなくできる限り借入金を少なくし、返済期間は長くても70歳くらいまでで完済できるようなプランを組むことが重要です。昨今では、定年退職後も仕事を続けることが多いと思いますが、
給与水準は現役時と比べて下がるのが一般的
また、上記のとおり住宅ローンの返済額以外にもさまざまなランニングコストが固定費として掛かってきますので、それらも含めたトータルコストで月々の支払い総額が無理のない範囲に収まるかを十分に精査する必要があります。
くれぐれも、販売サイドに勧められるがまま予算オーバーとなる高額物件を購入したりしないよう注意しましょう。
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住宅ローン完済までの道のりと老後資金の貯蓄について
50代のシングル女性と言っても、まだまだ十分に働ける年代であり、目先の収入面では不安を抱えることは少ないかもしれません。
ただし、65歳以降ともなると体の無理も利かなくなってくるほか、健康面でのリスクも大きくなってきますので、
そうしたリスクに備えた貯蓄も厚めにしておく必要
があります。
そういう観点からも住宅ローンは早めに完済し、老後資金の貯蓄に重きを置く必要があります。無計画にローンを組んでしまったりすると、
・定年を迎えてもローンが完済しきらない
・当然のことながら老後に向けた貯蓄もできない
・経済的不安が解消できずにストレスになる
といった悪循環が生まれてしまいます。
特に分譲マンションなどは、ローン完済後でも固定費の支払いが続きますし、戸建てであっても強制的に徴収されるわけではありませんが、修繕費の積み立ては必要です。
また、過去記事「▼定年後の住宅費はどれくらい?」で詳しく取り上げていますが、老後夫婦の月々の平均支出が25~30万円前後、年金などの社会保障費等の収入で19万円前後が平均となりますので、
単身の場合の社会保障費はさらに減少する
ということを前提に老後資金の貯蓄を進めなければなりません。
ただし、65歳以降ともなると車の購入以外はそれほど大きな買い物の必要もなくなってくるため、散財さえしなければある程度の額の貯蓄は可能。
何より住宅ローンを早めに完済できるような物件を選ぶ、そして返済プランを立てることが、老後の家計にもゆとりがあり、そして充実したシニアライフを送れるポイントになる、ということは覚えておきましょう。
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